君と見る空は、いつだって青くて美しい



「ダメだな、オレ。相手が抱えてることも何も知らないのに、そんなことを言ったら、言われた方は追い詰められたり傷ついたりするのに……」


 そんなこととは、さっき真宙くんが言った『屈する必要はない』という言葉のことだとは思うのだけど。
 その言葉で誰かが追い詰められたり傷ついたりしたのだろうか……。


「……希空ちゃん」


 真宙くんは静かに私の名前を呼んだ。


「オレ、自信に満ち溢れてなんかいないよ」


 ……‼

 そう言った真宙くんのことを見た私は、とても驚いた。

 なぜなら、今の真宙くんは、私が見たこともない真宙くんだった。
 今の真宙くんは、自身がなさそうで元気がない。

 そんな真宙くんを見て、私は動揺してしまった。
 
 私は、動揺しているのを落ち着かせようと、心の中で『落ち着いて』と、何度も自分に言い聞かせた。

 そうしている中、真宙くんの話は続く。


「……そんなオレに……か……」


 真宙くんはそう言うと、静かに空を見上げた。




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