君と見る空は、いつだって青くて美しい



「希空ちゃん」


 そう思いながら空と海を見ていると、真宙くんが静かに私の名前を呼んだ。


「空も海もきれいだね」


 そう言った、真宙くん。


「うん、きれいだね」


 私も真宙くんにそう言った。


「オレが、これから希空ちゃんに話をする場所として最高の場所だね」


 そう言った、真宙くん。


 そう。
 話。
 真宙くんのもう一つの話。

 なんだろう、真宙くんのもう一つの話って。

 真宙くんは、一体どんな話をするのか。
 そう思うと、私の胸の奥が小さくざわつき出した。
 小さくざわついて、次第にそれが大きな胸の高鳴りに変化した。


 私は胸の高鳴りを感じながらチラッと真宙くんの方を見た。
 真宙くんは穏やかな表情で空と海を見ていた。

 きれい……。
 穏やかな表情で空と海を見ている真宙くんは、とてもきれいな顔をしている。
 目も鼻も口も、すべてきれい。

 あまりにもきれい過ぎて、まぶし過ぎる。
 まぶし過ぎるけれど、私は、そんな真宙くんに見とれていた。


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