君と見る空は、いつだって青くて美しい



「び……」


「ん? 『び』?」


「びっくりなんてものじゃないよ。真宙くん、あまりにも突然過ぎるよ」


 心臓が悪い人なら、発作を起こしていたかもしれないくらいに。


「あはは、びっくり大作戦、成功」


 真宙くんは無邪気な笑顔でそう言った。


「あ……あれ……でも、真宙くん、前に『blue sky』のこと、知らないって言って……」


「あー、あれは、なんとなくそう言っちゃった。なんか自分のことを知ってるって言うのが、なんとなく照れくさくて」


「そうだったんだ」


 そうか、真宙くんは自分のことを知っているって言うのが照れくさくて、それで真宙くん自身である『blue sky』のことを知らないって……。

 私、真宙くんの気持ち、なんとなくわかる気がする。

 確かに私は顔出しNGの人気歌手じゃないから完全にはわからないけれど、もし私が真宙くんの立場だったら、やっぱり私も照れくさくて真宙くんと同じことを言っているかもしれない。

 そう思うと、真宙くんが真宙くん自身の『blue sky』のことを知らないって言ったことは、全く不思議なことではない。


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