君と見る空は、いつだって青くて美しい



「気付いたら……かな」


 気付いたら……?


「ほら、オレ、希空ちゃんのこと、去年の体育祭のとき、ポケットティッシュをもらってから希空ちゃんの顔は知ってるって話したでしょ」


「うん」


「体育祭が終わってからも、時々、希空ちゃんのことは見かけてた。ってことも話したよね」


「うん」


「オレ、希空ちゃんのことを見かけるたびに、希空ちゃんにポケットティッシュをもらったときのお礼をまだ言えてなかったから、そのお礼を言わなくちゃと思っていたんだけど、なかなか言うことができなくて。それも話したよね」


「うん」


「たぶん、希空ちゃんに、なかなかお礼を言うことができなかったのは、もしオレが希空ちゃんにお礼を言ったときに、希空ちゃんがオレの顔を覚えてなかったらショックだなって思ったから」


 真宙くん……。


「そのとき気付いたんだ。なんで希空ちゃんがオレの顔を覚えていなかったらショックなのかって。なんでそんな気持ちになるのかって」


 …………。


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