ひとりぼっちの王子
「じゃあ、行こうか。利玖」
「あぁ…」

ぎこちなく、歩く二人…
「ねぇ、姫…」
「ん?」


「━━━━━今すぐに、俺と結婚して?」


早く俺だけのものにしないと、アイツが……!!!
早く
早く
早く━━━━━


「え……利玖?」

「俺が必ず、幸せにするから!
姫は俺とじゃないと幸せになれないんだから………
━━━━━━━早く!!」

「利玖、どうしたの?さっきからおかしいよ…?
結婚にこだわらなくても、私は利玖といて幸せだよ?」

とにかく不安で動揺している俺に、落ち着かせるように話しかける姫。

でも俺は、完全に情緒不安定になっていた━━━━━━

「は……!?
結婚しないと、姫がどっか行くかもしれないだろ……!?
俺以外の人間に連れていかれるかもしれない…!!
結婚して、姫は毎日俺のことだけ考えて、俺のことだけ愛して暮らすんだよ?」



最初は時間をかけて、少しずつ姫の心を洗脳していくつもりだった。

だから、出来る限り紳士的に繕っていた。

最終的に俺だけのモノにする為に……………


でも今アイツの電話一本で、何かが切れた……

自分でもわかっていた、自分自身が壊れていくのを……

抑えられなかった━━━━━━

たとえ紙切れ一枚の事でも、目に見えるちゃんとした形が欲しかった。

結婚という鎖で、姫を一生繋ぎ止めておきたかった。

「━━━━━━姫、今から役所に行こう!!
今すぐ!!」

「利玖!!?
もう少し待って……!!
せめて晴ちゃんのことが、ちゃんと安心出来るまで」
「ダメだよ、姫。
もうダメ……一秒でも待てない!!
ほら、行くよ!!」
俺は強引に姫を引きずるように、手を引き歩き出した。


ドン━━━━━━
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