ひとりぼっちの王子
九条 晴加side
ここは、私の通う高校━━━━━

私が帰り支度していると、
「ねぇ、晴加!
門のとこにめっちゃイケメンいるんだけど!」
友達が興奮気味に話しかけてきた。

「へぇー、そうなんだ」
私は、淡々と答えた。

「ちょっと!晴加!何が“へぇー、そうなんだ”よ!
これだから、彼氏持ちは!
本当晴加はいいなぁー!
彼氏はイケメン、お兄さんもイケメン。
私にもイケメンをー(笑)」

「フフ…!もう!(笑)
早く帰ろ!!」

「はーい!
……………でも最近、お兄さん元気ないんでしょ?
せっかく晴加が病気克服して、元気になったのにね……」
肩を落として言う友達に、私も切なく笑う。

「うん……離婚してからね」
「あ、そうだったね…
晴加も義理のお姉さんのことスッゴい好きだったもんね……!」

「うん、可愛くて優しくて。すごく憧れてたんだ」

私は手術成功し、一年ダブらせて今高校に通っている。

最初は幸せだった。
色んなことを我慢して生きてきたので、普通に生活できることが。

でもお兄は………

家に帰ってもいつもいない。
たぶん、飲み歩いているんだと思う。

そして毎晩、酔っ払って帰ってくるのだ。

こんなことなら、あの頃……空羅ちゃんがいたあの頃の方がよかった気がする。


そんなときに知り合った彼氏と、私は今付き合っている。

初めての彼氏で、色んなことが新鮮で。
彼氏との時間だけは、そんな嫌なことを忘れられるのだ。
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