ひとりぼっちの王子
家に走って帰る。
バックを廊下に放り投げ、そのままお兄の部屋へ向かった。


『君のお兄さんの部屋に“重要書類”って書いた若王子コーポレーションの茶封筒があるはずなんだ。
君のお兄さんは、昔から大事な書類は家で保管するタイプだからね。
━━━━━━それを持ち出して欲しい。
大丈ー夫!
まさか君が取ったなんてわかるはずないし、万が一バレてもあの九条が君を怒るはずない。
僕はここで待ってるから、お願いできる?』


あの妖しい笑みが、今でも頭にこびりついてる。


でも、こうしないと彼を失っちゃう━━━━━


お兄のデスクの引き出しの中や、上を漁っていると━━━━━━



「あ…あっ…た………!」




タタタタ……………

私は書類を抱き締めて、先程の公園に向かった。

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