ひとりぼっちの王子
「あの日━━━━しーちゃんに別れを告げられたあの日。
私がどんな気持ちだったかわかる?」
空羅が静かに涙を流しながら、俺にぶつけるように言う。

「私は!しーちゃんのこと本当に大好きだった。
毎日幸せで、晴ちゃんも本当の妹みたいに可愛くて、だから二人とずっと一緒にいたかった……!
それをある日突然奪われたの!
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
しーちゃんに好きな人ができたこと、気づかなかった自分が情けなくて……!」

「空羅、本当にごめん!!
もう一度言わせて。
俺は今でも、空羅を……空羅だけを愛してるんだ!!
今度は絶対離さないから、俺のとこに戻ってきてくれ!」


俺は、必死に訴えた!
空羅に戻ってきてほしくて━━━━━━



ダン━━━━━!!!
「ふざけんな!
姫、まさか俺から離れたりしないよなぁ…!?」
若王子がテーブルを殴り、空羅に鋭い視線と言葉をぶつけた。


「利玖…私………」
明らかに、空羅の心が動揺しているのがわかる。

よし、今だ……!
今、俺の言葉を空羅に━━━━━━

「空━━━━━」


「━━━━━許さないから!!
俺から離れるなんて!
姫、コイツといて幸せになれると思う?
妹の命と引き換えに妻を差し出す男だよ!
また何かあれば、姫を裏切るかもよ!
それに今さら俺以外の人間と暮らせるの!?
姫の身体は、俺なしじゃ生きられないようになってるんだよ!」

しかし若王子は、更に追い詰めるように空羅に言葉をぶつけていく。



「や、やめて……!!!」
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