ひとりぼっちの王子
次の日の夕食後………

「━━━━━空羅、ちょっと大事な話があるんだ」

「え?どうしたの?」
俺の真剣な顔に空羅も、心なしか硬い表情で向かいの椅子に座った。


「空羅、俺と別れて欲しい………」


時が止まった━━━━━


止まったように二人とも動かない。


「どう、して…急に…」

「空羅の他に好きな人ができたんだ…」

「え……好きな…人……?
誰なの!!?」
俺に掴みかかる勢いで、詰め寄る。

「空羅の知らない人だよ。会社の後輩」


空羅は………それ以上何も言わず、静かに涙を流しながらただ目の前の俺を見つめていた。


「離婚届は、俺が出しておくから……」


次の日………

空羅はこの脱け殻のような家から出ていった。
< 7 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop