氷の貴公子は愛しい彼女を甘く囲い込む
「今度ベリーヒルズビレッジ開業5周年のパーティがあるの知ってる?」
「え?あ……店長が言ってました。たしか再来月でしたっけ」
急に話題が変わった事に戸惑いながらも答える。
るりの話によると、開業5周年を記念して、オーナー会社である三笠ホールディングス主宰で関係者が招待されホテルで大々的に行われると聞いている。
関係者と言っても、招待されるのはヒルズ開業に関わった政財界人や、テナントとして入る会社の社長や院長などのセレブたちだ。
MANOきりこも社長と夫人が招待されているらしい。
(でも、社長は嫌がってるって言ってたなぁ。経営は専務に任せて、自分は作品作りばかりしたがるもんね……)
一流の職人でもある頑固だけど優しいおじさんといった雰囲気の社長の顔を思い出す。
「間宮さんも出席されるんですか?」
「仕事の関係で主催者サイドで出席することになってるんだけどね。正直ああいう華やかな場所は好きになれないな」
間宮の勤める会社はオフィスビルに入る会社ということだからそういう事もあるのだろう。
彼が正装したらリアル貴公子だ。立っているだけで視線が集まりまくるだろう。
「すごいですね。想像もつかないけれど、煌びやか世界なんだろうな」
「綾さんは行ってみたいと思う?」
「うーん、どうだろ?そうですねぇ『百聞は一見に如かず』っていうし、経験として一生に一度くらいそういうセレブな空間を垣間見るのもいいかも知れませんね。そうそう、ドラマや映画に出てくるヒロインみたいに」
まあ、一生に一度も自分には縁の無い世界だろう。パーティが終わったら、るりを通じて社長に食事が美味しかったか聞いてみよう。
「君はたまに若い女性とは思えないような事を言うね。お弁当ひっくり返した時も『神様のバチが当たる!』って慌てて……『一粒の米に7人の神様』だっけ?」
間宮は思い出したように笑っている。
彼と初めて会った時、膝に乗せていた弁当をぶちまけ色々パニックになり思わず口走ってしまった。さらにその後彼に問われ何故かお米の大切さを説いた覚えがある。
「初対面の人に私何言ってたんでしょうかね……私、おじいちゃん子だったんで、おじいちゃんがよく言っていた言葉が刷り込まれちゃってて、説教臭くて、お恥ずかしいです」
これじゃあヒロインどころの話じゃない。昔から親しい友人にも『また綾から爺さん出て来た』と揶揄われることが多かった。
「え?あ……店長が言ってました。たしか再来月でしたっけ」
急に話題が変わった事に戸惑いながらも答える。
るりの話によると、開業5周年を記念して、オーナー会社である三笠ホールディングス主宰で関係者が招待されホテルで大々的に行われると聞いている。
関係者と言っても、招待されるのはヒルズ開業に関わった政財界人や、テナントとして入る会社の社長や院長などのセレブたちだ。
MANOきりこも社長と夫人が招待されているらしい。
(でも、社長は嫌がってるって言ってたなぁ。経営は専務に任せて、自分は作品作りばかりしたがるもんね……)
一流の職人でもある頑固だけど優しいおじさんといった雰囲気の社長の顔を思い出す。
「間宮さんも出席されるんですか?」
「仕事の関係で主催者サイドで出席することになってるんだけどね。正直ああいう華やかな場所は好きになれないな」
間宮の勤める会社はオフィスビルに入る会社ということだからそういう事もあるのだろう。
彼が正装したらリアル貴公子だ。立っているだけで視線が集まりまくるだろう。
「すごいですね。想像もつかないけれど、煌びやか世界なんだろうな」
「綾さんは行ってみたいと思う?」
「うーん、どうだろ?そうですねぇ『百聞は一見に如かず』っていうし、経験として一生に一度くらいそういうセレブな空間を垣間見るのもいいかも知れませんね。そうそう、ドラマや映画に出てくるヒロインみたいに」
まあ、一生に一度も自分には縁の無い世界だろう。パーティが終わったら、るりを通じて社長に食事が美味しかったか聞いてみよう。
「君はたまに若い女性とは思えないような事を言うね。お弁当ひっくり返した時も『神様のバチが当たる!』って慌てて……『一粒の米に7人の神様』だっけ?」
間宮は思い出したように笑っている。
彼と初めて会った時、膝に乗せていた弁当をぶちまけ色々パニックになり思わず口走ってしまった。さらにその後彼に問われ何故かお米の大切さを説いた覚えがある。
「初対面の人に私何言ってたんでしょうかね……私、おじいちゃん子だったんで、おじいちゃんがよく言っていた言葉が刷り込まれちゃってて、説教臭くて、お恥ずかしいです」
これじゃあヒロインどころの話じゃない。昔から親しい友人にも『また綾から爺さん出て来た』と揶揄われることが多かった。