氷の貴公子は愛しい彼女を甘く囲い込む
「今日は手作り弁当?」
彼は口数は多くは無いが、口調が優しい。
「はい、地味なものばっかりで恥ずかしいですけど」
今日の弁当はきんぴらごぼうと卵焼きとミニトマト、とんかつは弁当用の冷凍食品だったりする。
「本当に綾さんは美味しそうに食べるね」
整った目元を柔らかく細めて微笑ましそうに見てくる――しかも食べているのは完全なる手抜き弁当。慣れては来たものの、なかなか居心地が悪い――と、思いながらも食べるのだが。
「間宮さんは今日ももう食べて来たんですか。相変わらず忙しいんですね」
綾は卵焼きを摘みながら言う。
「今日はランチミーティングがあってね」
彼は忙しく、昼食の時間を使って会議をすることもあるらしい。
今日もランチミーティングの後、コーヒーを片手にこちらにやってきたようだ。
「でも、少しの時間でもここにくるのが楽しみなんだよね」
「わかります!確かにここは開放感もあるし、気持ちいいですもんね。私もすごいリフレッシュできますもん」
「……僕は、それだけが目的じゃないんだけどね」
間宮は綾が食べるのを見守りながら言う。
「……?」
眺めが良いほかに何かメリットがあるだろうか。
(間宮さんみたいに出来るサラリーマンで、嫌でも人目を惹きつけてしまう見た目の人はこういう場所でリラックスする時間が必要なのかも……)
実際出来るサラリーマンかどうかは知らないが、なんか物凄く仕事が出来そうなオーラを感じる。
加えてこの整った美貌だ。常に注目の的だろう。
「私、間宮さんの貴重なリラックスタイムを邪魔してません?」
誰しも一人になる時間は必要だ。自分も前の勤めていた会社で疲れた時には少しの時間でもいいから誰にも目に付かない場所に行って休憩したいと思ったものだ。残念ながらあの頃はここのような恵まれた場所は無かったのだか。
「もし、一人になりたいなら、私はおじゃまでしょうから平日はここに来るのは遠慮しましょうか?」
会社員は土日祝は休みだが、綾はむしろ休日にシフトが入る。平日の出勤日はバックヤードで過ごせばいい。
残念ではあるが自分は彼が休日の時にくればいいのだ。
「いや、そんなことはない!」
いつも落ち着いて見える彼には珍しく少し慌てた声を出す。
「僕の方こそ……後から来て君の昼休みの邪魔をしているだろう?」
「いえ、別にここは誰でも入れる場所なんですから、後も先も無いですよ」
「なら、僕だって同じだ。綾さんがいいなら綾さんが好きな時に来て、いつものように過ごしてくれた方が嬉しい」
「……じゃあ、遠慮なくこれからもそうさせてもらいますね」
彼に気を遣わせてしまったかな、と思いつつもそう言って貰えると嬉しい。
綾が笑って答えると間宮も柔らかく微笑んだ。
彼は口数は多くは無いが、口調が優しい。
「はい、地味なものばっかりで恥ずかしいですけど」
今日の弁当はきんぴらごぼうと卵焼きとミニトマト、とんかつは弁当用の冷凍食品だったりする。
「本当に綾さんは美味しそうに食べるね」
整った目元を柔らかく細めて微笑ましそうに見てくる――しかも食べているのは完全なる手抜き弁当。慣れては来たものの、なかなか居心地が悪い――と、思いながらも食べるのだが。
「間宮さんは今日ももう食べて来たんですか。相変わらず忙しいんですね」
綾は卵焼きを摘みながら言う。
「今日はランチミーティングがあってね」
彼は忙しく、昼食の時間を使って会議をすることもあるらしい。
今日もランチミーティングの後、コーヒーを片手にこちらにやってきたようだ。
「でも、少しの時間でもここにくるのが楽しみなんだよね」
「わかります!確かにここは開放感もあるし、気持ちいいですもんね。私もすごいリフレッシュできますもん」
「……僕は、それだけが目的じゃないんだけどね」
間宮は綾が食べるのを見守りながら言う。
「……?」
眺めが良いほかに何かメリットがあるだろうか。
(間宮さんみたいに出来るサラリーマンで、嫌でも人目を惹きつけてしまう見た目の人はこういう場所でリラックスする時間が必要なのかも……)
実際出来るサラリーマンかどうかは知らないが、なんか物凄く仕事が出来そうなオーラを感じる。
加えてこの整った美貌だ。常に注目の的だろう。
「私、間宮さんの貴重なリラックスタイムを邪魔してません?」
誰しも一人になる時間は必要だ。自分も前の勤めていた会社で疲れた時には少しの時間でもいいから誰にも目に付かない場所に行って休憩したいと思ったものだ。残念ながらあの頃はここのような恵まれた場所は無かったのだか。
「もし、一人になりたいなら、私はおじゃまでしょうから平日はここに来るのは遠慮しましょうか?」
会社員は土日祝は休みだが、綾はむしろ休日にシフトが入る。平日の出勤日はバックヤードで過ごせばいい。
残念ではあるが自分は彼が休日の時にくればいいのだ。
「いや、そんなことはない!」
いつも落ち着いて見える彼には珍しく少し慌てた声を出す。
「僕の方こそ……後から来て君の昼休みの邪魔をしているだろう?」
「いえ、別にここは誰でも入れる場所なんですから、後も先も無いですよ」
「なら、僕だって同じだ。綾さんがいいなら綾さんが好きな時に来て、いつものように過ごしてくれた方が嬉しい」
「……じゃあ、遠慮なくこれからもそうさせてもらいますね」
彼に気を遣わせてしまったかな、と思いつつもそう言って貰えると嬉しい。
綾が笑って答えると間宮も柔らかく微笑んだ。