厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
 「だから何度も申してるであろう? 早急にこの度の総括を済ませ、今後の教訓にすると」


 「……ご自身の反省の言葉がないばかりか、これからもまた愚かしい戦をくり返されるおつもりなのですか」


 相良の言葉が、ますます刺々しいものとなっていった。




 「愚かとはどういう意味だ。晴持さまの仇も取らず、尼子を調子に乗らせたままにしておけと言うのか」


 相良に挑発され、私も冷静さを失いつつあった。


 「今回のあまりに無様な負け戦では飽き足らず、さらに傷口を広げようとするとは笑止千万。晴持さまの命を奪ったのは陶どの、あなたに他なりません!」


 「何だと……」


 相良は、言ってはいけないことを口にした。


 私が最も言われたくないことを……。


 「そうではありませぬか。武士として相応しい死に場所を晴持さまから奪ったのは陶どの、あなたです!」
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