厳島に散ゆ～あんなに愛していたのに～
　その晴英さまを改めて、大内家次期当主としてお迎えしようと計画した。


　これが元よりあるべき道だったのだ。


　どこの馬の骨の子かも知れぬ、大内家の血を一滴も引いていない義尊さまよりは。


　体の半分に大内家の血が流れる晴英さまのほうが、よっぽど当主として相応しい。


　一度養子縁組を破談したことにより、大友義鎮は大内家の一方的な無礼な振る舞いをかなり不快に感じていたようだが。


　九州北部の利権を分け与えるという条件で、義鎮は協力を承諾。


　晴英さまを大内家の新当主に据えるため、今後の私の行動を支持してくれるとの約束も取り付けた。


　時を同じくして、毛利にも同調を求めた。


　毛利にも根回しをしておいて、混乱に乗じて尼子（あまご）が大内領の背後から攻めて来ないよう、見張っていてもらう必要がある。


　御屋形様が今のままではいずれ大内家は尼子に滅ぼされかねないとの危機感を持っていた毛利元就（もうり　もとなり）は、私の行動に一定の理解を示してくれた。
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