厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
「この兵力では、宝泉寺でさえも守りきれませぬ」
兵たちの逃亡が相次ぎ、今のままでは到底陶の軍勢を迎え撃てぬと判断し。
冷泉どのの進言を受け入れ、御屋形様は山口を後にするご決断をなされた。
「海路逃げ延びて、その後再起を図ろう」
海へ出るには、南側の街道は全て封鎖されているため。
北に進み日本海へと出なければならない。
日本海側の港は、長門(ながと)の仙崎(せんざき)。
山口を出て一晩中歩かなければならないほど離れている(約50キロ)。
「……とりあえずはここを退いて、立て直しを図ることとする」
御屋形様はようやく決断された。
宝泉寺を退いて亡命なさると。
「どこへ……向かわれますか」
公家たちは御屋形様を見上げ、答えを待つ。
「私の姉たちの嫁ぎ先のいずれかに身を寄せ、その地にて反撃の狼煙を上げる日を待とう」
兵たちの逃亡が相次ぎ、今のままでは到底陶の軍勢を迎え撃てぬと判断し。
冷泉どのの進言を受け入れ、御屋形様は山口を後にするご決断をなされた。
「海路逃げ延びて、その後再起を図ろう」
海へ出るには、南側の街道は全て封鎖されているため。
北に進み日本海へと出なければならない。
日本海側の港は、長門(ながと)の仙崎(せんざき)。
山口を出て一晩中歩かなければならないほど離れている(約50キロ)。
「……とりあえずはここを退いて、立て直しを図ることとする」
御屋形様はようやく決断された。
宝泉寺を退いて亡命なさると。
「どこへ……向かわれますか」
公家たちは御屋形様を見上げ、答えを待つ。
「私の姉たちの嫁ぎ先のいずれかに身を寄せ、その地にて反撃の狼煙を上げる日を待とう」