厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
「不必要に敵国に攻め込むのは、あまり好ましくないことではあるが……」
元来、戦を好まれない御屋形様は、できれば遠征は回避したいと考えている。
「ですが尼子をこのまま放置しておけば、いずれ勢力を盛り返し、また大内の害となることは明白。いつかは雌雄を決しなければならないでしょう」
他の重臣たちも、徐々に遠征決行の流れに傾き始め、
「周辺諸国の豪族たちが、このように嘆願書を送ってきたのはこの上ない口実となります。御屋形様、ここは是非ともご決断を」
重臣たちは口々に私に同調した。
「そうか。嘆願書を受け取っておきながら何も行動を起こさないのも、せっかく傘下となってくれた者どもを失望させてしまうかもしれぬな。ここはやはり、出雲遠征を」
決行しよう。
御屋形様がそう言いかけた時だった。
「御屋形様、恐れながら申し上げます。この遠征、今一度お考え直しくださいませ」
決定に口を挟んだ者がいた。
元来、戦を好まれない御屋形様は、できれば遠征は回避したいと考えている。
「ですが尼子をこのまま放置しておけば、いずれ勢力を盛り返し、また大内の害となることは明白。いつかは雌雄を決しなければならないでしょう」
他の重臣たちも、徐々に遠征決行の流れに傾き始め、
「周辺諸国の豪族たちが、このように嘆願書を送ってきたのはこの上ない口実となります。御屋形様、ここは是非ともご決断を」
重臣たちは口々に私に同調した。
「そうか。嘆願書を受け取っておきながら何も行動を起こさないのも、せっかく傘下となってくれた者どもを失望させてしまうかもしれぬな。ここはやはり、出雲遠征を」
決行しよう。
御屋形様がそう言いかけた時だった。
「御屋形様、恐れながら申し上げます。この遠征、今一度お考え直しくださいませ」
決定に口を挟んだ者がいた。