厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
 晴持さまのみならず、この私も。


 今回の出雲遠征、勝利を信じて疑わなかった。


 落ち目の尼子を一気に攻め滅ぼし、西日本を一挙に大内家の支配下に置く。


 そして周防の国はますます繁栄し、日本一の大名となられた御屋方様は帝や公方様をお救いし、荒れ果てた京の都を復興し。


 周防のみならずこの日本の国をも、正しい方向へとお導きくださる。


 そのような輝かしい未来は、今や手の届くところまで近付いているように感じられた。


 実際、総大将として軍勢を率い、先頭で手綱を握る御屋方様は。


 きらびやかな武具に身を包み、大内家当主としての威厳に満ち溢れていた。


 誇るべき当主に仕えることができて私はこの上なく幸せで、御屋方様のためにこの度も必ず勝利をたぐり寄せてみせると胸に誓っていたのだった。
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