厳島に散ゆ~あんなに愛していたのに~
「我ら毛利軍が殿(しんがり)を勤めます。御屋形様は無事に山口へとお戻りください」
毛利元就が殿を申し出た。
殿とは、撤退する軍勢の最後尾を守る部隊のこと。
本隊を無事に逃がすために、追って来る敵を蹴散らす任務にある。
勢い付いた敵の追撃を振り払うのは非常に困難で、殿は最も危険な任務と認識されている。
そのような危険な任務に、毛利元就が立候補したのだ。
「何を申されます元就どの。今回の遠征は大内が無理矢理始めたこと。元就どのにそこまでの危険を、」
「……前回陶どのには、我らが居城・吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)を取り囲む尼子を駆逐していただいた恩があります。今こそその恩に報いさせていただきます」
「毛利どの……」
元就の意思は固く、今回の殿は元就に任せることとなった。
その元就は途中で別れて安芸に帰還するため、それ以降の殿は私が務めることとなった。
……今回の遠征は、私が無理矢理開始したこと。
失敗の責任は、何らかの形で追わなければならないと強く感じていた。
毛利元就が殿を申し出た。
殿とは、撤退する軍勢の最後尾を守る部隊のこと。
本隊を無事に逃がすために、追って来る敵を蹴散らす任務にある。
勢い付いた敵の追撃を振り払うのは非常に困難で、殿は最も危険な任務と認識されている。
そのような危険な任務に、毛利元就が立候補したのだ。
「何を申されます元就どの。今回の遠征は大内が無理矢理始めたこと。元就どのにそこまでの危険を、」
「……前回陶どのには、我らが居城・吉田郡山城(よしだこおりやまじょう)を取り囲む尼子を駆逐していただいた恩があります。今こそその恩に報いさせていただきます」
「毛利どの……」
元就の意思は固く、今回の殿は元就に任せることとなった。
その元就は途中で別れて安芸に帰還するため、それ以降の殿は私が務めることとなった。
……今回の遠征は、私が無理矢理開始したこと。
失敗の責任は、何らかの形で追わなければならないと強く感じていた。