【短編】月明かりの下で、愛を囁く
終焉を告げる月明かりの下で
あなたと私は幼なじみ。
一体何の因果なのか、12年間ずっと学校もクラスさえも同じだった。
当たり前のように隣にいるあなたを邪険に扱いつつも、本当は……。
ずっと好きだった―――。
臆病だから。
弱虫だから。
今の関係を崩すぐらいなら。
私が選んだ道。
それはあなたの幼なじみとして、彼女の隣で幸せそうに微笑むあなたを傍で見続けること。
例え、窓に映るシルエットに胸を痛めても、微かに漏れる声に耳を塞ぎたくなっても……。
それでも、幼なじみとして笑いかけてくれるこのポジションを選んだのよ。
そうしたら幼なじみとして、いつまでもあなたと繋がっていられるでしょう?
恋の終わりなんてあっけないもの。
あんなに濃厚な行為をしていたとしても、幾度となく別れを繰り返す。
この世に『永遠の愛』なんてものは存在しない。
それをあなたが証明してくれた。
幾度となく私の胸を締め付け苦しめながら。
漆黒の空に神々しい光を放つ月。
月には不思議な力があるのかしら。月の浮かぶ夜は、人の本能をむき出しにする。
目を背けたくても、見てしまうのよ。
僅か数メートルの距離にあるあなたの部屋の窓を。
カーテンに映る、あなたと彼女の情事。
だから……。