【短編】月明かりの下で、愛を囁く
あなたと付き合いだして二度目の満月の夜。
初めての街でのデート。
私がどれだけ心待ちしていたかなんて、あなたにはどうでもいいことだったのかしら。
待ち合わせ場所に、何であの人が……。
私の目に入ったのは、ハニかんだ表情を浮かべて愛しそうに彼女を見つめる彼。
私じゃない、他の女に向けられたもの。
私への気持ちは偽り?
彼女、私が最後に確認したあなたのモトカノだよね。
しばらくの間立ち尽くした私は後退りをし、そのままその場を走り去っていった。
私に届くのは満月の光だけ。
それさえぼやけて霞んでいく。
それ以外視界に入らなくなった私は……。
キッ、キキッー!!
……そして数日後。
あなたの元へと戻ってきたのよ。
あなたのモトカノとして、ね。
「ねぇ、私のこと好き?」
未だ苦しむあなたを見つめながら、胸の痛みから目を逸らして問い掛ける。
「好きだ……よ、ナル……」
「何言ってるの? 私は“ミカ”よ!!」
彼が伸ばした手がようやく私を捉えると、体をギュッと抱き寄せてきた。
冷酷なほどに胸を締め付けるあなたの行動。
欲しくて欲しくて、やっと手にいれたあなたの温もりだった。
「ナル、だろ? ミカの体だけど……ナル……お前、なんだろ?」