今夜はずっと、離してあげない。
出逢った夜
*
─────この場合、どうするんだろう。
そんな疑問が頭の中に浮上して、それをすぐさまかき消した。
綺麗な銀色に染め上がった髪色は、月光に輝いてきらめいていて。
その真反対と言っても過言ではないグレーよりの黒い瞳は、しっかりと、目の前に立つ私を射抜いていた。
「…………、」
「…………」
お互い、無言。
ひたすらに沈黙の時間が続いている。
こんな場面ははじめてだし、なにより何を話せばいいのかわからない。
友達なんて、もう何年もできた試しなどなかったから。
……春は出会いと別れの季節とは言うけれど。
バイト終わりだからと公園を突っ切ろうとしたら、ベンチで不良少年がくつろいでいて、なにかを訴えかけるように無言で見つめられるなんて、誰か予想できました?
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