今夜はずっと、離してあげない。
「あら、氷高ちゃん。どうしたの?」
「えっ、あの、えっ……?なんでこの人がここに?」
大家さんと不審者を行ったり来たりしながら、この奇妙な組み合わせに首を傾げる。
「ああ、実は今朝、氷高ちゃんの部屋から出て行く姿を見かけて!」
その言葉に、さあっと顔を青ざめさせる。
パッと不審者の方を見れば、すっと、視線をそらされた。
「それで昨日のことも納得がいって!」
「……ど、どんなふうに、ですか?」
「この子、氷高ちゃんの親戚の子で一緒に住んでるんでしょう?」
「……………エッ、」
大家さんのあまりにも的外れな回答に、目が飛び出るかと思った。
「だとしたら色々納得できて!ベンチに座ってたのも、氷高ちゃんの帰りを待ってたからでしょ?」
にこにこと笑顔でそう妄想を語る大家さんに、違う、違うんです、と言いたいのを寸でで堪える。