今夜はずっと、離してあげない。
名乗った夜
*
入学して、約一ヶ月。
ようやく高校という環境になれて来た。
「もうそれがねっ、すーっごくカッコよくって!見てみてこれ!こんなに白髪似合う男子いなくない?!」
「わー、ほんとだ」
「なにその棒読み」
むうっとほっぺたを膨らませる凛琉は、スマホの画面を戻して、ほうとため息をついた。
……確かに、整っているとは思うけど。
凛琉は入学して初めて隣の席になった子で、グループが確立し始めている時に話しかけてくれたのがキッカケで仲良くなった。
……そして、話す内容は主に凛琉の推し様とやらのコト。
「ナルくん、ほんっと目の保養!生きててくれてありがとう!」
「……誰に感謝してるの?」
私は残念ながら、天気予報以外でテレビは基本見ない派だから、アイドル系は範囲外。
なので、そのナルくんという人が誰なのか全然わからないのだ。