今夜はずっと、離してあげない。
「もー、なんで真生はこんなイケメン見ても何も感じないの?!」
またずいっと眼前に差し出されるスマホの画面。
そこには、つい先程見たプラチナホワイトの髪色をした、たしかにイケメンという名の男子が。
……うーん、顔はすっごく整ってるし、カッコいいとは思うんだけど。
「……別にときめかないんだよね」
「なんでええ?!」
ありえないと言いたげな目をお願いだから今すぐやめてほしい。
……前はもっと普通の感性持ってたって自分でも思うよ。
こうなったのは、十中八九あの人のせい。
むっとしながら、お弁当の蓋を開けると。
「ほんと、真生のお弁当はいつ見ても美味しそうだね。その卵焼きちょーだい」
「ん、いいよ。口開けて」
いつものように、豪華すぎるお弁当の中でもえりすぐりの卵焼きを、これまたいつものようにあーんで食べさせてあげる。
……それもこれも、家事スキルが高すぎるあの人のせいです。