今夜はずっと、離してあげない。
明かされた夜
*
「お化け迷路、いかがですか〜」
教室の前でぽやあっとしていれば、隣に座っていた凛琉が呼び込みをしていた。
早いもので、もう文化祭当日。
準備期間は長いようで短かった一ヶ月。
その間はバイトも週1〜週2に減らし、出し物準備に専念した。
「ほらっ、真生も呼び込みしなきゃ!」
「……迷路型お化け屋敷いかがですか〜。スリル満天ですよ〜」
「こら真生!正式名称で言わない!!」
「だって、そっちの方がわかりやすいかと思って……」
お化け迷路なんて、要素をいろいろ盛り込みすぎだと思う。
私のクラスの出し物に決まったのは、定番のお化け屋敷……に、似たナニか。
お化け屋敷ではあるんだけど、中が迷路型になっており、その時々でお化けに追いかけられたりする、というものらしい。
クオリティの方は、まあ高校の文化祭レベルのものなので、あまり期待はしないが吉。