今夜はずっと、離してあげない。
おかえりの夜
*
「もー、ちずとマオマオが喧嘩したって聞いた時はどうなるかと思った!」
「うん。私もどうなるかと思った」
「喧嘩した本人が言うセリフ?!」
以前と同じような会話。
千井がいつも通り窓から顔を出して、朝水くんもいつも通り……いや。朝水くんはいつも通りではないけど。
なんか、凛琉とこそこそ内緒話をしていたり。
そして、ちず……こほん。
伽夜、は、というと。
「真生、ケチャップついてる」
「え、どこですか」
「ここ」
なんか、おかあさん度が増した。
ここ、と唇の端を指さされて、慌てて拭う。
……と、ポケットティッシュを差し出される。
「ありがとうございます」
「ん」
そんなフツーの、至っていつも通りのやりとりをしていれば。
横からぐさぐさと突き刺さりまくる視線が。
「……ちずとマオマオ、付き合ったの?」
「そうとしか思えない……」
なんか、あらぬ勘違いをされていた。