今夜はずっと、離してあげない。



教え方はわりとやさしくって、まあたまにスパルタな時もあったけど、家では不器用代表の私が数時間で習得できたんだから、教え方は上手いと思う。


……なんてことを喋れば、伽夜の眉間にいっそう皺が寄ってしまった。なぜ??



「……で、何を教わったんだ」

「……、……えっと、教わりはしたんですけど、やっぱりひとりでするのは難しくってですね……」

「内容を話す前からなんでお前は言い訳をしてんだよ……」



だ、だって、先に言い訳を述べていたほうが罪が軽くなる気がして……、……うん、ならないね。



「……怒らないでくださいね?」

「お前のしでかしたことによる」

「私が全面的に悪そうな言い方やめてくれません……?」



そんなに悪いことはしてない。……たぶん。きっと。



「……なんか、あの、私にできることってなんだろうって思って、そしたらこれしか思いつかなくってですね……」



そんな言い訳をつらつらと並べながらドアを開けば、伽夜がぽかんと、帰ってきた時よりも驚いた顔をした。


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