今夜はずっと、離してあげない。
「……あの、何か反応をお願いします……」
「え?あ、ああ……、これ、お前ひとりで作ったのか?」
これ。
そう伽夜が指差す先には、すでにきちんとお皿に盛り付けられた食材たちが2人分揃っている。
「ええっと……、はい。千井に協力してもらって、作りました」
食卓に並ぶ料理の数々に、驚きを隠せていない伽夜。
まさか私がこんなことをするなんて思っていなかったんだろう。私もできると思っていなかったから、お互い様。
「協力してもらったって……?」
「伽夜がバイトしてるお店から出た後に、千井家に行って教わりました。……ま、まあ、ひとりで作るのは危なっかしすぎるからダメって千井に言われて、作ったものをタッパーに入れて持って帰ってきたんですけどね……」
それをお皿に、いい感じに盛り付けただけ。
……ここまで説明して、あれ、これほんとに私が作ったって言えるのかな?ほぼ千井が作ったみたいに聞こえる、なんて今更なことを思ってしまった。