今夜はずっと、離してあげない。
「っ、ほんとですか?!」
「こんなことで嘘ついてもどうしようもないだろ。見目は置いといて、味の方は申し分ないし」
「うっ、そ、そんなに見た目ダメですか……?」
「何言ってんだ。見た目は食欲に多大な影響を及ぼすんだぞ」
……その通りではあるけれど。
まずそうな見た目で味が美味しかったらそれはもう天変地異としか言いようがない。そんなの作れたら、それはもうある種の才能だと思う。
「次は気をつけろよ」
「っ……はい!」
次、と言われたことが、自分でも思った以上にうれしくて。
声が弾んで、伽夜に変な目で見られてしまった。
でも、いいや。
次は、一緒に作ってくれる。
──────じゃあ、その次は?
ふと降りてきた疑問と同時に、ぴり、と左胸あたりに走った痛み。
……え、あれ?
「……どうかしたか?」
「あ、いや、なんでもないです。たぶん、胸の成長痛なので」
「それは素直に言わなくていい」
なんだろう。
成長痛にしては、かなり、いたい。