今夜はずっと、離してあげない。




「ヒーローの存在が主人公にとって癒しで、家で待ってくれてる人がいるってだけでうれしいの。まあそれがわかるのはナルくんの演技がものすっごく上手いからなんだけど!あ、あと、」



話の途中で推しへの愛を語るのをわすれないのは、凛琉らしい。


そう気を抜いて笑っていると、凛琉の言葉にずどんと不意打ちで頭を撃ち抜かれた。



「単純に、好きだからっていう理由もあるだろうけどね」

「…………へ??」

「え、だってそうでしょう?他人を自分の家に置いておくっていうことは、自分の心のいちばん近い場所に置くっていうことと同義じゃない?そんなところに赤の他人を置くのは、その人が自分にとって最も大事な人でもなきゃ、無理だと思うし」



目を丸くする私に、さも当然かのように言い聞かせる凛琉。


……自分にとって、最も大事な、ひと。

……、伽夜、が、大事な、ひと。



「………いつまで家にいてくれるのか不安になったり、褒められるとうれしくなったり、不意に頭を撫でられて口をゆるめちゃうのとかは、」

「好きだからじゃないの?」


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