今夜はずっと、離してあげない。
SS:クリスマスの夜
(※これは、本編の翌日のオハナシ)
「……い、おい、」
「……んぅ、」
「─────いい加減起きろこのバカッッッ!!!!」
「ひえぃ、」
くるまってぬくぬくと暖めていた布団が、無慈悲なおかあさまによって引っ剥がされた。
それも、いつかの夕暮れの日のような文言で。
「さ、さむぅ……っ」
「今日は5度だから当たり前だ」
「ふ、布団返してください……」
まだ開かない瞼を薄ら開けて、縮こまったまま布団を取り返そうとぶんぶん手を振り回す。
「今日布団洗濯すんだよ。これは返さない」
「え、ええっ……、こんな寒い日にわざわざ防寒に対しての至高の品を奪う所業がどれほど罪深いことかおわかりですか?!」
「ペラペラ理屈っぽく言っても、俺には通じねえからな」
頑として譲らなさそうなその地獄のような予定に、仕方なくもぞもぞ丸めていた体を横から土下座体勢に移行した。