今夜はずっと、離してあげない。




『……はあ。とりあえず、どっかわかりやすいとこに座って待ってろ。目印になりそうなものはあるか?』

「え、えっと……、」



目の前に聳え立つクリスマスツリーのことを伽夜に伝えたら、絶対に動くなよって何度も念押しをされて通話が切れた。



「……ほんと、不甲斐ない、よなあ」



近くの座れるところはこの人出で全部満席だったから、立って待つことにした。

……ら、浮き足立ってた自分がひどく滑稽に思えてきてしまう。


いや滑稽ではあるけども。はじめての恋人に浮かれて不釣り合いなオシャレした挙句はぐれるなんて。私、普段だったらこんなことしないのに。ちゃんと気をつけてるのに。



「……気が、抜けてるのかな」



それとも、やっぱり、伽夜の前だから─────、


そんなことを、上の空で考えていた時、だった。




「─────あの、すみません」

「……え?」



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