今夜はずっと、離してあげない。
「……おい千井、余計なこと聞くな」
そんな時、ごつん、と割と鈍い音が響いたのは、チイさんの後頭部から。
「いって!!弁当箱で殴るな!型崩れするだろ?!」
「お前も十分変だと思うぞ」
帰ってきた不審者は、チイさんの頭を私のお弁当箱で殴っていた。
そうそう。チイさんの言う通り型崩れするからやめて。それ私の。やるなら自分のものでお願いしたい。
「ほら、これ」
「え、あ、はい」
持ってきたお弁当箱と交換して、やっと帰れる……!と思ってたんだけど。
「でさあ、もういい加減流すのやめくんない?!2人のカンケイは一体なに!!」
……あ、忘れてた。
チイさんという人が、ぶすっと不貞腐れた子供みたいな顔をするから、思わずぷっと噴き出した。
そんなに気になるんだ、この人。
……それで、どう誤魔化しましょうか、不審者サマ。