今夜はずっと、離してあげない。
「ここのパンケーキが最高でね、」
スマホの画面をスクロールして、ふんわりパンケーキの画像を見せてくる凛琉は、無自覚に追い詰めてくるんだから困る。
無自覚っていうところが、またタチが悪い。
「……凛琉、」
「うん?なに?真生」
「お弁当忘れてきた私にそれは酷じゃないかな……」
そう言った直後、ぐうううう、と間抜けな音が響く。
幸い、その音はうるさい昼休みの教室では凛琉にしか聞こえなかったらしい。
「……なんかごめん。購買行ってくる?」
「無理だよ嫌だよ……。あの一件で、私たち目立っちゃったんだから……」
「真生が銀色のキミをおかあさんなんて呼ぶから」
「それはそうだけど……それに銀色のキミって……」
変なあだ名つけないであげて。これ聞いてたらおかあさん怒るし。
「まあでも、真生がおかあさんなんて呼ぶぐらいなら……ほら、」