今夜はずっと、離してあげない。




ぺこり、バイトの癖でお辞儀をすれば、ぺこりと会釈返しをされた。


見た目の割にしっかりしてる男子なんだなあ。

それに、チャラそうなのに第一人称が僕っていうのもちょっと違和感があるし。



「ちずには敬語でもいいけどさ、せめて僕には敬語はずしてよ。同い年なのに敬語って堅苦しいし」

「でも、バイトじゃ同い年でも敬語使う時ありますし……」

「よそはよそ、うちはうち」

「ここ学校ですよね??」




腕を組みながら変な言い方をする千井さん。

やっぱりこの人、少しズレてる気がする。



「……まあ、千井さんがいいならそれで」

「やった!あ、じゃあこの際だからさん付けもやめてよ。名字呼びでもいいからさ」

「ええ……それはちょっと……」



抵抗が……と言えば、いいじゃーん、なんて軽い言葉が返ってくる。



「あ、なら僕も氷高ちゃん呼びで、」

「千井やめて」

「いきなり砕けた」


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