意識して、すきにして、
「切らなかったら、おれにもくれる?」
「結局、ほしいってこと?」
「くれるんなら、もらっとくかなって」
……かやはつくづく、わがままだ。
「髪ゴムひとつくらい、普通に『ほしい』って言ってくれれば、なんの負担もなくあげるよ?」
「負担って、どゆこと?」
「えっと……。ほしいならあげる、ほしくないけど社交辞令で言ってたらあげないほうがいい? って考える負担というか」
ああ、そういう。納得したようにうなずいて、黙り込んでしまった。
ほんと、かやって、自由人。
時々、宇宙人なんじゃないかって思う。
かやが突然、『おれ実は、宇宙人なんだ』とか言い出したら、たぶん信じちゃうな。
多少疑ったとしても、かやが鼻で笑って『どうせお前にはわかんないよな』なんて言ったら、100パーセント信じる。
想像がついてしまったところも、宇宙人だと思っている証拠だろう。