意識して、すきにして、
「ね、かや。髪触ってみてもいい?」
「は? 何、おれのからだ目当て?」
「あほなこと言ってないで。だめ? やだ?」
「やじゃないよ、まいみならべつに」
わたしなら。3秒くらい、どきりと固まって。すぐにはっとする。
かやの言う、とくべつ扱いのようなセリフは、べつに。
深い意味なんてないんだから。気にしちゃだめだよ。
「まいみならべつに、どうってことないだろ。勇気ねぇし。おれのからだがほしくたって、髪を触るので限界、じゃね?」
「うっさい」
つまりかやは、『おまえはおれを襲えない』と言いたいんだ。
そうだよ、襲えない。
反応が怖いし、今後の関係が変わってしまう可能性が怖いし、そもそも。
そんな問題行動、しないから。