御曹司、家政婦を溺愛する。

こちらだって信頼と実績がかかっているのだ。西里マネージャーだって、危ない綱渡りはしない。

「鈴さん、新堂さんの自宅なんだけど、契約どおり平日の間は行くようにしてくれる?断られるかもしれないけど、お母様が根気強く通って欲しいと言うのよ。根比べから始まる仕事なんて今まで聞いたことないけど、少し頑張ってみてくれる?」
夕方になって西里マネージャーから声をかけられ、私はファイリングの終わったファイルを数冊抱えて「はい」と頷いた。

「来るな」と言う家主に通う家政婦なんて。
今日の新堂隼人の様子では、また追い返される気がするばかりだった。





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