御曹司、家政婦を溺愛する。
会社に行ってくれるようになりました。
新堂隼人の家政婦として、彼の自宅に出入りできるようになって三日目。この部屋の勝手がやっとわかってきた頃で、私も自分のペースで仕事の流れを掴めるようになった。
月曜日の朝、事務所で西里マネージャーに新堂隼人とのことを話すと、
「出禁が解けてよかった。頑張りなさい」
と、復帰を応援してくれた。
そんなわけで、新堂隼人の荒れた部屋を勤務時間内に片付けようとすること、丸二日もかかってしまった。
普通なら一日あれば片付けられる内容だ。
理由は、ある。
「……何してるんですか」
「ん?監視」
私の作業を四六時中、見物している家主が一人。あちこちと整理整頓して掃除する姿を、飽きるんじゃないかと思うくらい、じっと見ているのだ。
「綺麗に片付いている」
「……一応、プロなので」
家政婦業を十二年しているのだ。こちらにも雑草並みのプライドくらいはある。
一日一往復くらいの言葉のキャッチボールがあるだけの、基本新堂隼人に見られているだけの仕事が二日続いた。