御曹司、家政婦を溺愛する。
カチャリ。
ドアの開く音で気がつく。
ふわふわのベッドで、あたたかい布団に包まれて、額に解熱シートを貼られて眠っていた。
「……ん」
「起きたか?」
「……ん」
新堂隼人の声が心地よくて、くすぐったい。
ギシッとベッドが揺れて、彼がベッドの際に座ったようだ。そして私の首筋に触れる。その手は冷たくて気持ちよかった。
「まだ熱いな。水、飲むか」
「うん……」
はっきりしない頭で、私は頷く。
私を起き上がらせ、ペットボトルのお水を私に飲ませようとした。私が上手く飲めなくて、口の端から水を零してしまった。
「ごめんなさい……」
パーカーを濡らしてしまった私は、ぼんやりしたままだ。
「佐藤、汗もかいているから着替えるか」
着替える?
私、上手く着替えられるかな。
ふわふわした頭で思っていると、いつの間にかいなくなっていた新堂隼人が戻ってきた。
「これに着替えよう」
「……はい」
すると、サイドテーブルの灯りがふっと消えて、部屋は真っ暗になった。
「しんど……くん」
「俺は、ここ」
ギュッと抱きしめてくれる彼に、私は安心して再び目を閉じてしまった。
自分が何をされているのか、よくわからなかったが、新堂隼人の声と肌を撫でてくれる感覚はすごく気持ちいいと思った。