あやかしあやなし
「おぬしは人も物の怪も集めるのじゃな」
「物の怪はともかく、人はどうであろう」
手を止めて呟いた惟道は、己の手元に視線を落とした。豆の入った膝先の笊の中には、いつの間にやら小さな物の怪が何匹か入り、豆で遊んでいる。
「物の怪が寄ってくるのは、俺がそっち寄りだからではないのか」
常人からすると、惟道は気味が悪いらしい。感情がないから表情もない。整った顔立ち故、より不気味に映るようだ。
人には見えない物の怪も普通に見ることができるし、惟道自身、人よりも物の怪のほうが付き合いやすい。人というのは肚の内と外で真逆のことを考えていたり、やたらと見栄や体裁を気にしたり、惟道にとっては理解できない、摩訶不思議な生き物だ。
「ほっほ。わしとて世間からは、物の怪坊主扱いじゃ」
からからと、和尚が笑う。この和尚も物の怪が見えるらしい。職業故か、元々なのか。
「おぬしのその稀有な力は、人にも影響しておるよ。……いや、人というよりは、おぬし自身に、かものぅ」
「?」
「おぬしの周りには、良き人が集まると思わぬか?」
「……道仙も良い人になるのか」
「おお、そういえば、そ奴もおったな。けどそ奴のお陰で安倍の子息と出会えたと思えば、悪いことばかりではあるまい」
なるほど、と納得する。
「物の怪はともかく、人はどうであろう」
手を止めて呟いた惟道は、己の手元に視線を落とした。豆の入った膝先の笊の中には、いつの間にやら小さな物の怪が何匹か入り、豆で遊んでいる。
「物の怪が寄ってくるのは、俺がそっち寄りだからではないのか」
常人からすると、惟道は気味が悪いらしい。感情がないから表情もない。整った顔立ち故、より不気味に映るようだ。
人には見えない物の怪も普通に見ることができるし、惟道自身、人よりも物の怪のほうが付き合いやすい。人というのは肚の内と外で真逆のことを考えていたり、やたらと見栄や体裁を気にしたり、惟道にとっては理解できない、摩訶不思議な生き物だ。
「ほっほ。わしとて世間からは、物の怪坊主扱いじゃ」
からからと、和尚が笑う。この和尚も物の怪が見えるらしい。職業故か、元々なのか。
「おぬしのその稀有な力は、人にも影響しておるよ。……いや、人というよりは、おぬし自身に、かものぅ」
「?」
「おぬしの周りには、良き人が集まると思わぬか?」
「……道仙も良い人になるのか」
「おお、そういえば、そ奴もおったな。けどそ奴のお陰で安倍の子息と出会えたと思えば、悪いことばかりではあるまい」
なるほど、と納得する。