バカな君へ、贈る愛
公園のベンチに座って、本を読んだりスマホをいじったりしていても、みんなわたしのことなんてお構いなしだった。
歩いてきた、わたしと同い年くらいの金髪の男の子もわたしをチラッとみただけでその後に目を逸らして姿を消した。
……うわ、気がつけばもう18時過ぎてるし。
それにもうスマホの電源も、10パーセントしかない。
「あれ?」
俯いていると、人の両足が見えた。
声からして、知らない人だな。
「お前、さっきからこんなところで何してんだ?」
見上げると、さっきの金髪の男の子がわたしをまじまじと見ていた。
「もう家に帰れそうになくて……」
金色の髪の毛。
ブラウンの二つの瞳。
明るい色の組み合わせだけど、そんな彼の口から溢れ出る言葉は、ぶっきらぼうだった。
「ふーん、俺と一緒じゃん」
「一緒って?」
「とっくに俺も家帰れそうにねーからだよ」
「は、はぁ……」
「家に帰れそうにないって……もしかしてその顔、『出てけ』とか言われたのか?」
その言葉に、思わず体が飛び上がった。
「その様子じゃ、そうか」
あぁ……知られちゃった。
って、別にいいけど。
知られても知られなくても、もうお父さんにところに戻ってもいいところがないのは、変わらないものね。