バカな君へ、贈る愛

「おっとわりぃ。俺も似たような境遇なのに、失礼なこと言っちまったな」



あっ……ぶっきらぼうって思ったけど、優しいかも……。



「俺の名前は佐伯 桜介(さえき おうすけ)。お前は?」



「じゅ、珠華……。雛形 珠華です」



「雛形、珠華……」



佐伯くんの呟いている声に、わたしはコクコク頷いた。



「ぶっ!」



「なにおどおどしてんだよ……って、ああ、俺がこんな格好してるからか」



い、いやっ……違います……!


そういう問題じゃないと思う……。


多分だけどね……普通の格好してても、今のわたしじゃ知らない男の人にそんなことされたら、きっと同じ反応するよ……。



「あ、あのっ……」



「わりぃわりぃ。えっと、雛形。お前、行く場所がないって?」



「はい……」



「じゃあ、来いよ」



……来い?


え、わたし、どこに連れて行かれちゃうの……?




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