バカな君へ、贈る愛

「ごちそうさま」



「じゃ、片付けるね」



テキパキと皿やコップを片付けるたびに、珠華の胸元のリボンが小刻みに揺れる。



「な、なあ珠華」



「ん?」



キッチンの水をとめて、珠華は黒目がちの瞳を俺に向けた。



「あのさ……」



「うん? なに?」



「……いや、なんでもねぇ。俺も、支度しないと」



……俺が自分から珠華を連れてきたくせに、なんで今さら言いたいことも言えないんだろう。




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