バカな君へ、贈る愛
俺達は仕方なく、珠華の家庭事情のことも話すしかなかった。
隅々まで話すと、さすがの気が動転していた彼女も落ち着いたみたいだ。
「実は……」
珠華が、テスト返しの後、自分の父親に出て行くよう言われた後に、本当に出て行ってしまったこと。
そして、俺に見つかってこの家で今も過ごしていることを全て話した。
「住む場所が早々に見つかったのはよかったけど、なんで黙ってたのよ?」
「そのぉ……」
「も〜、びっくりした。相談してくれないなんて、こっちが今どれだけ寂しい気持ちになったと思ってるの?」
「ごめん、真白」
「でも、珠華は今問題ないってことは今の生活は悪くないってわけね? なら、よかった。それと……」
珠華の友達は、俺に体を向けてきた。
「いきなり、あんな態度とって悪かったわ」
「ああ、いえ。いいんです、俺の方こそ。誤解させましたね」
俺も一応、謝ることにした。
誤解させたのは嘘じゃないし、ここで謝らなかったら、また彼女は怒るかもしれないからな。