推恋
プロローグ-1日目-

入学初日



高校生の春。入学式が終わり
緊張した面持ちで教室に足を踏む

誰も知らない中さらに緊張が走る

人見知りな少女は隣の子と目が合ったが
話しかけることも出来ず無言で自分の席に着く

過去のこともあり人が怖い少女は周りの誰の顔も見ることが出来ないまま
下を向き、ただ時が進むのを待った。

「あれ、水野上履きはどうした?」

そう言ってきたのは先生だった

(頼むから話しかけないでくれ)

ただただ願っていた
目立つのが嫌いだった少女は控えめに答えた

「下駄箱に入ってなかったです」

「なんだお前もかぁ、隣の山本もなかったんだってー」

どうやら隣の子は山本さんと言うらしい
軽く会釈をして苦笑しあった

(ほんとに頼むから私で余計に周りを巻き込まないでくれ)

少女はまた願った。

後ろの席に誰かが座った

振り返る勇気は少女にはなかった。
目が合った時の対処法が思いつかない。

その時後ろから肩を叩かれた

「まい!!しゅらよ!!」

保育園だけ同じだった
その子はしゅらだった

知らない人だらけで緊張していたまいは安心に包まれた

「あーしゅらかぁ、朝来たら上履き無かったんやけど。入学早々いじめみたいなってんねんけど。」

「うわまじか!!お前知らんやつにいじめられとんのか!!」

と、彼女は笑う

(いや笑い事じゃねぇって。ほんとにねぇんだわ。)

心の中で突っ込む

その後も何度か会話を交わした

「全員揃ったっぽいからHR始めるぞ〜全員知らんと思うけぇ自己紹介カードを作りました。明日までに書いて明日の朝1人ずつ自己紹介してもらいます」

(出た。私の苦手なヤツ。)

自己紹介は大の苦手だった
自分を表現することが1番苦手だったからだ
表情が作れないやつがどうやって言葉にするんだと謎にキレ気味に心の中でツッコミをしていた

「まい〜一緒に書こうやぁ」

しゅらが言ってくる。

前までの私なら1人で書けと言うが
高校からはちゃんと女の子しないとと思っていたため快く了承した

「いいよーそうしよー」

楽しげに書いて一日目は終わった。








右斜め前の席のあの人を横目に____




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