女神の加護? いいえ、ケフィアです。
シャンティクリームとパウンドケーキ爆誕
こうして、この異世界でシャンティクリームが誕生した。
雪みたいなクリームと言っていたので、ヨナスの故郷で雪を示す『ネジェ』をつけて『ネジェクリーム』と呼ぶことになった。そしてパンケーキに出来たシャンティクリームを乗せて、オリヴィアとヴァイスは美味しく頂いた。
そして更に次の日、卵白に砂糖を入れてシャンティクリームのように泡立て、卵黄とさっくり合わせた後、篩った粉を入れてまんべんなく混ぜた。そして、その生地を天板で焼いた後、用意しておいたシャンティクリームを塗って巻いていった――ロールケーキの、完成である。
昨日一度に教えなかったのは、泡立てばかりさせるとヨナスが大変だと思ったからだ。しかし、ヨナスはむしろ嬉々として生クリームと卵白の泡立てを行った。おかげでロールケーキが無事完成し、ヨナスが再び目を輝かせて語彙力を失うことになった。
「これは美味い上に、食感が新しいな」
「本当ね。ふんわりしっとりで」
「美味しい……!」
そして、完成したシャンティクリーム、改めネジェクリームとロールケーキを食べたオーリン・ウーナ・エリオットも語彙力を失った。気持ちはよく解るので、オリヴィアが微笑んで見守っていると、口元のクリームを舐めたヴァイスがドヤ顔で言った。
「な、美味いだろ? 女神様、すごいだろ?」
「……また、つくってもらっていい?」
「勿論……」
「……ヴァイスとオリヴィア? もしよければなんだけれど、このクリームとお菓子を他の人にも食べて貰って良いかしら?」
「「え」」
父・オーリンが笑って頷こうとしてくれたが、そこで母・ウーナが口を挟んできた。
広めて貰うのは望むところではあったが、少し気になることがあった。それ故、ヴァイスを見るとクリクリ金色の瞳を動かして、ウーナに尋ねてくれた。
「食べて貰うって……それは良いけど、作り方じゃなくて良いのか? ちょっと力仕事ではあるけど、料理人なら出来そうだろ?」
「ヴァイス……オリヴィアも、不思議そうね。職人の技術は、貴重なの。あと誰彼構わず教えるのではなく、技を見て盗んで覚えるものよ。それは料理人も同じだから、新しいレシピはそう簡単には人には教えないわ。今回は、ヴァイスとオリヴィアが食べる為にヨナスにお願いしたけれど……新しいお菓子はまずお茶会などで出して、こういうものがあると広めなければ。誰かに教えるとしても、それからにしないと他の料理人に自分のレシピだと横取りされてしまうわ」
「なるほど」
「そうなの……」
ウーナの説明に、オリヴィアとヴァイスは頷いた。前世ではレシピ本など普通にあったので、もっと簡単に考えていた。
しかしそういう仕組みなら、女神への奉納の儀をする為には早め早めに動いた方が良いと、オリヴィアは思った。
(広めるのに、時間がかかるのなら……この調子でコツコツやって、ケフィア粒を作って、奉納の儀を目指すわよ!)
実際にやると驚かれるので、心の中で拳を握ってオリヴィア(三歳)は決意した。
雪みたいなクリームと言っていたので、ヨナスの故郷で雪を示す『ネジェ』をつけて『ネジェクリーム』と呼ぶことになった。そしてパンケーキに出来たシャンティクリームを乗せて、オリヴィアとヴァイスは美味しく頂いた。
そして更に次の日、卵白に砂糖を入れてシャンティクリームのように泡立て、卵黄とさっくり合わせた後、篩った粉を入れてまんべんなく混ぜた。そして、その生地を天板で焼いた後、用意しておいたシャンティクリームを塗って巻いていった――ロールケーキの、完成である。
昨日一度に教えなかったのは、泡立てばかりさせるとヨナスが大変だと思ったからだ。しかし、ヨナスはむしろ嬉々として生クリームと卵白の泡立てを行った。おかげでロールケーキが無事完成し、ヨナスが再び目を輝かせて語彙力を失うことになった。
「これは美味い上に、食感が新しいな」
「本当ね。ふんわりしっとりで」
「美味しい……!」
そして、完成したシャンティクリーム、改めネジェクリームとロールケーキを食べたオーリン・ウーナ・エリオットも語彙力を失った。気持ちはよく解るので、オリヴィアが微笑んで見守っていると、口元のクリームを舐めたヴァイスがドヤ顔で言った。
「な、美味いだろ? 女神様、すごいだろ?」
「……また、つくってもらっていい?」
「勿論……」
「……ヴァイスとオリヴィア? もしよければなんだけれど、このクリームとお菓子を他の人にも食べて貰って良いかしら?」
「「え」」
父・オーリンが笑って頷こうとしてくれたが、そこで母・ウーナが口を挟んできた。
広めて貰うのは望むところではあったが、少し気になることがあった。それ故、ヴァイスを見るとクリクリ金色の瞳を動かして、ウーナに尋ねてくれた。
「食べて貰うって……それは良いけど、作り方じゃなくて良いのか? ちょっと力仕事ではあるけど、料理人なら出来そうだろ?」
「ヴァイス……オリヴィアも、不思議そうね。職人の技術は、貴重なの。あと誰彼構わず教えるのではなく、技を見て盗んで覚えるものよ。それは料理人も同じだから、新しいレシピはそう簡単には人には教えないわ。今回は、ヴァイスとオリヴィアが食べる為にヨナスにお願いしたけれど……新しいお菓子はまずお茶会などで出して、こういうものがあると広めなければ。誰かに教えるとしても、それからにしないと他の料理人に自分のレシピだと横取りされてしまうわ」
「なるほど」
「そうなの……」
ウーナの説明に、オリヴィアとヴァイスは頷いた。前世ではレシピ本など普通にあったので、もっと簡単に考えていた。
しかしそういう仕組みなら、女神への奉納の儀をする為には早め早めに動いた方が良いと、オリヴィアは思った。
(広めるのに、時間がかかるのなら……この調子でコツコツやって、ケフィア粒を作って、奉納の儀を目指すわよ!)
実際にやると驚かれるので、心の中で拳を握ってオリヴィア(三歳)は決意した。