もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
プロローグ
プロローグ
また夢を見た。
サッカーボールをかかえて公園に行ったのに、だれも仲間に入れてくれない…夢。
力いっぱい、ボールを植えこみのなかに蹴りとばして。
泣かないように歯をくいしばったところで目がさめる。
6年生のころから、何度も、何度も、同じ夢を見て。
夜中に飛び起きるはめになるのは、それが本当にあったことだからで。
何度も同じ夢を見る理由は、いまもそこに、アイツがいるからだ。
『だって明緒、おまえ女じゃん』
突然ガラガラになった声でそう言って。
あたしから、友だちと、楽しい時間を奪ったアイツ――藤島 慎吾。
アイツだけは一生許さない。
それまでだれも、男とか女とか。
そんなことは考えもせずに遊んでいたのに。
“友だち”だったのに。
チビで、どんくさくて、いつだってあたしのうしろをついてきていたアイツが、
『だって明緒、おまえ女じゃん』
たったひと言、そう言った瞬間に、あたしは除け者。
あたしはなんだってできたのに。
野球だって、バスケの3on3だって、サッカーだって。
アイツに教えてやったのは、あたしなのに。
『だって明緒、おまえ女じゃん』
アイツのひと言で、あたしは仲間はずれ。
男なんて、大っきらいだ!
友だちだと思っていたのに。
楽しくやってきたのに。
だれかが――アイツが――あたしを“女”にしたら、それでTHE END。
昨日までのことを、みんな忘れた顔であたしを仲間はずれにして……。
「ちくしょう!」
あのころのくやしい気持ちは、一生忘れないけど、思いだしたくもないものなのに。
何度も何度も夢に見て。
そのたびにギリギリ歯ぎしりしちゃうのはアイツのせいだ。
アイツ――藤島 慎吾――が、あたしのまえを、いつまでもうろちょろしてるから。
4年間、視線もかわさず口もきかず、思いっきりの他人できたけど。
アイツはいつだって、そこにいた。
同じ中学、同じ高校。
声も低くなって、背も伸びて。
聞こえてくるうわさも、まるであのころとは別人だけど。
面影の残っている顔は、いつだって振り向けばそこにいて。
イライラするほど、そこにいて。
いまもあたしに夢を見せる。
楽しかったムカシの夢を――。
また夢を見た。
サッカーボールをかかえて公園に行ったのに、だれも仲間に入れてくれない…夢。
力いっぱい、ボールを植えこみのなかに蹴りとばして。
泣かないように歯をくいしばったところで目がさめる。
6年生のころから、何度も、何度も、同じ夢を見て。
夜中に飛び起きるはめになるのは、それが本当にあったことだからで。
何度も同じ夢を見る理由は、いまもそこに、アイツがいるからだ。
『だって明緒、おまえ女じゃん』
突然ガラガラになった声でそう言って。
あたしから、友だちと、楽しい時間を奪ったアイツ――藤島 慎吾。
アイツだけは一生許さない。
それまでだれも、男とか女とか。
そんなことは考えもせずに遊んでいたのに。
“友だち”だったのに。
チビで、どんくさくて、いつだってあたしのうしろをついてきていたアイツが、
『だって明緒、おまえ女じゃん』
たったひと言、そう言った瞬間に、あたしは除け者。
あたしはなんだってできたのに。
野球だって、バスケの3on3だって、サッカーだって。
アイツに教えてやったのは、あたしなのに。
『だって明緒、おまえ女じゃん』
アイツのひと言で、あたしは仲間はずれ。
男なんて、大っきらいだ!
友だちだと思っていたのに。
楽しくやってきたのに。
だれかが――アイツが――あたしを“女”にしたら、それでTHE END。
昨日までのことを、みんな忘れた顔であたしを仲間はずれにして……。
「ちくしょう!」
あのころのくやしい気持ちは、一生忘れないけど、思いだしたくもないものなのに。
何度も何度も夢に見て。
そのたびにギリギリ歯ぎしりしちゃうのはアイツのせいだ。
アイツ――藤島 慎吾――が、あたしのまえを、いつまでもうろちょろしてるから。
4年間、視線もかわさず口もきかず、思いっきりの他人できたけど。
アイツはいつだって、そこにいた。
同じ中学、同じ高校。
声も低くなって、背も伸びて。
聞こえてくるうわさも、まるであのころとは別人だけど。
面影の残っている顔は、いつだって振り向けばそこにいて。
イライラするほど、そこにいて。
いまもあたしに夢を見せる。
楽しかったムカシの夢を――。