もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「なんか…」言いかけた子が、ニヤニヤまわりの子を見回す。
 とたんにドッと、

「なんかいまの超あやしい」「明緒(あきお)?」「慎吾(しんご)だって」「ね、ね。どういう関係なの? 藤島(ふじしま)くんと明緒って」「明緒ぉ、慎吾ぉとか、名前で呼んじゃうなんて」「なんで黙ってた? 知り合い?」「ね。知らなかったよね」「ね」

 言葉を失ったあたしを正面からじっと見て、慎吾がひょいと肩をすくめる。
「別に……。言うような関係じゃねえよ」
 涼子(りょうこ)がちらっとあたしを見た。
 その視線にどう答えたらいいかわからなくて、あたしも教科書に手をのばす。

 用もないのにパラパラ教科書をめくりかけたとき、
「まあ、ちょっと。2回ほど、おれが明緒にふられただけで」
 慎吾がノートにうつむいたまま、ぼそっと言った。

 とたんにおきた騒ぎは、もう知らない。
 あたしは例によって慎吾と、目をそらした者負けの、にらみあいをしていたから。

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