もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 そのまま女子の陣地に押していきそうな勢いに
「や。いいから。ちょっと!」
 あわてて追いかけた背中をめがけて飛んできた白いボール。
「いぇーい、ジェントルマーン」「ひゅーひゅー」
 男子たちのひやかし声と、飛んでくるボールが止まらない。

「てめーら!」
 壁に当たってはねかえってきたボールを慎吾(しんご)が投げ返す。
 やり返せばもちろん、また飛んでくるボールがあって。
「うわっ」
 とばっちりをうけたあたしの手も、ぱしっとボールをキャッチ。
 それはそのままカゴのなかに落としたけど。
 ちょっと、なにしてるの。
「やめな…」「やれっ」
 え?
 耳元で聞いた楽し気な声の主をふりあおぐ。
「いくぞ、明緒(あきお)!」
 え。え。えええ?

 慎吾(しんご)がカゴのなかのボールを手渡してくる。
「おまえらぁぁぁ。覚悟しろよっ」
 叫んだ慎吾も片手でにぎったボールを投げていた。
(うわあああ)
 あっという間に投げ返されてきたボールをよける、受ける、投げ返す。
 体育館の半分がドッジボール大会になって。
「くぉらぁああ。おまえら、なに遊んでやがる。おれもまぜろ!」
 走ってきた先生が我が軍に合流。
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