もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
「今日の相手はだれかしらね」「なんか最近3年生まで来るよね」「このあいだバスケ部の子がなんか相談してたよ」「参戦?」「まじ? すごーい」

 話がはずむなか「明緒(あきお)っ!」あたしの腕をつかんだのは涼子(りょうこ)
「負けたらいやよ。絶対、勝って」
 とたんに「負けるわけないよ」「あたしたちの明緒よ」こぶしを握る女子会s。
 胸がどきどきする。

 あたし、いいの? 行っていい?

 女子たちにとってあたしは、話の合わないつまらない子だと思う。
 メイクにもファッションにも興味がないし。
 たぶんきっと、みんなにとってあたしは、たまに勉強を教えてくれる、ちょっと便利な子…みたいな。
 でも男子にとっても、あたしはきっとどうでもいい子だ。
 涼子みたいに美少女じゃないし、三木ちゃんみたいに頼もしくもない。
 近藤ちゃんみたいにハヤリに敏感じゃないし、おしゃべりもへた。
 中学3年間を、カラに閉じこもってすごしたツケは、取り返したいと思ってもそう簡単じゃない。
 ゆうべのプロ野球中継についてなら、何時間だってしゃべれるし。…なんて。
 自慢にもならないのはもう、あたしだってわかってる。
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